(2018年3月18日作成)(2024年9月4日再編集)
結論
・2019年以前は開業届出の存在感は薄かったと解されます。
・しかし2020年の持続化給付金新規開業特例により一躍脚光を浴びることになりました。
・開業届出の提出方法はe-taxソフトの利用が必須となるため紙提出となる可能性も高いと解されます。国税庁は早く改善すべきと解されます。
下記で詳細を記述します。
2019年以前は開業届出の存在感は薄かったと解されます
個人事業を開業する際に、税務署に提出する書類が「個人事業の開業・廃業等届出書」となります。廃業届出としても利用するため当該名称となっておりますが、今回は開業に焦点を当てますので、以下においては簡便的に開業届出として記述します。開業届出をまとめると下記となります。
・開業日から1ヶ月以内に提出する必要がある
・開業届出の提出が無ければ開業したことにはならず売上があっても申告義務はないとはならず、反対に開業届出を提出したからといって必ず事業を継続していなければならないかと言えばそうではない
となります。まず開業日から1か月以内に提出する必要がある、とありますが2か月後であっても3か月後であっても受け付けてくれます。
次に、開業届出の提出が無ければ開業したことにはならず売上があっても申告義務はないとはならないについてですが、いわゆる売上があるのに無申告というお話が有名かと思われますが、開業届出を提出していないから開業していないから申告義務はないとなれば無申告に対する税務調査が不可能となりますので当然かと思います。
また開業届出を提出したからといって必ず事業を継続していなければならないかと言えばそうではないについてですが、廃業届出をきちん提出せずに引退、事業を廃止、フェードアウトしていくことも多数存在しますので、開業届出を提出した場合は必ず事業に関して何か動いていなければ罰せられることもありません。
以上が「開業届出は別に出しても出さなくても実害はない」というのが2019年までの認識であった理由となります
しかし2020年の持続化給付金新規開業特例により一躍脚光を浴びることになりました
2020年の流行語といっても過言ではないコロナ持続化給付金ですが、ここでまさか開業届出が注目されることになります。持続化給付金は前年と売上を比較して下落していれば給付対象とする仕組みでしたが、2019年や2020年開業者については単純比較が困難であったり、前年が無い、場合もあり、開業月からの稼働月で判定する有利な特例も創設され、その開業月を証明するために受付印の日付が有効な開業届出が必要となりました。開業届出をきちんと提出していない場合は当該特例で有利な判定を利用できないという実害が発生したのです。気づいて慌てて提出したとしても、求められている日付より後の受付印となり、利用できないという者が続出しました。
つまり現状は今後も何かあるかもしれないし、そもそもルールとして提出すべきであるから怠けずに提出すべきである、となります。
開業届出の提出方法はe-taxソフトの利用が必須となるため紙提出となる可能性も高いと解されます。国税庁は早く改善すべきと解されます
では開業届出を提出する方法は、現状では下記となります。
・e-taxソフトで作成、つまりマイナンバーカード及びICカードリーダーが必要
・紙で提出
となります。ここで、e-taxのweb版対応かつスマホ読み取り対応であれば、e-taxのweb版による提出も検討可能でした。しかし現状は未対応となります。紙で提出、ですが厳密を言えばe-taxソフトで作成して紙に印刷したものを税務署に提出すれば、少なくとも手書きは回避可能となります。
紙で提出の場合は2025年令和7年1月以後の提出は受付印の控えを押してもらえないデメリット
が最大の懸念材料となります。後日に開示請求などで対応する手間を考えれば、ここはこれを機会にイータックスソフト利用へ踏み切ることのきっかけになるかもしれません。
開業届出の記載事項
記載内容は下記の通りです。
○納税地→個人事業主であれば、納税地は基本的に住所つまり住んでいるところが納税地となります。ただ、店舗のある事業所等も納税地とすることができます。上京区に自宅があり、中京区に事務所がある場合に、事務所を納税地とすれば中京税務署に消費税の確定申告書、所得税の確定申告書を提出することになります。つまり、下記の提出先税務署に影響します。
○提出先税務署→納税地の場所によって管轄の税務署が異なります。ご自身でお調べください。上京区は上京税務署、中京区は中京税務署、下京区は下京税務署、と非常にわかりやすい地域もあります。しかし、山科区は山科税務署が存在せず、東山税務署が管轄となります。また長岡京市は右京税務署が管轄となります。
○提出日→届出日を書くのですが、空欄でも問題ないです。税務署の受付印に日付が提出日となります。電子申告の場合は受信通知が提出日となります。
○上記以外の住所地・事業所等→自宅と店舗の両方の住所を持っている人は書くことになります。
○氏名・生年月日→個人事業主を始めるご自身の氏名・生年月日を書きます。
○職業→卸売り、小売り、製造業、など業種を書いてください。
○屋号→屋号がある場合は書いてください。
○届出の区分→開業にチェックしましょう。
〇所得の種類→事業所得のケースが多いでしょう。
○開廃業日→開業日を記入しましょう。
○開廃業に伴う届出書の提出の有無・青色申告承認申請書→青色申告は大変お得です。「有」をチェックして「青色申告承認申請書」を提出しましょう。しかしここでの選択が採用されるわけではありませんので提出が必要です。
○開廃業に伴う届出書の提出の有無・消費税に関する課税事業者選択届出書→インボイス登録申請の判断保留などの場合もあるので、いったんここは「無」にチェックとしてもよいと解されます。ここでの選択が採用されるわけではありません。
○給与等の支払状況→「青色事業専従者」や「従業員」を雇う予定があれば記入します。
○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無→源泉所得税の納期の特例を選択する場合は、「有」を丸で囲み、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しましょう。
まとめ
開業届出は提出しなくても罰則はないものの、提出すべきと解されます。
現代においてはパソコンも会計ソフトも安いから、自分で自力で確定申告したいけれどいきなりは不安、だけど税理士に依頼するのは気後れする、そんな個人事業主様向けに「3年で税理士卒業ティーチング型税務顧問」を提供している京都の税理士です。弊所卒業生限定で卒業後のスポット相談業務も対応します。税理士業界の繁忙期を避けた決算月を設定されておられる法人会社については長期的な税務顧問を提供いたします。顧問税理士の一時的な業務集中時期発生回避にご協力いただくことは、貴社にとってもメリットが大きいはずです!よろしくお願いいたします。