(2018年4月5日作成)(2024年9月7日再編集)

結論

・生計一家族(≒同居家族)への自由な給与支払いは実は特例的な扱いとなっております。
・青色専従者給与は専ら従事していることが要件となり、家族への容易な所得分散を防いでいます。
・青色事業専従者給与に関する届出書の提出を失念しないようにしましょう。

下記で詳細を記述します。

生計一家族(≒同居家族)への自由な給与支払いは実は特例的な扱いとなっております

他人を雇い、従業員として働いてもらい給料を支払ったら全額経費になります。他人を雇用し働いてもらう内容と同一内容の仕事を、同居家族、配偶者や子供にしてもらった場合に支払う給料も、原則的に経費になると考えることは通常と解されます。しかし生計一家族(≒同居家族)に支払う給与は、基本的には経費否認されるが青色申告かつ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出してる場合に例外的に認めるという例外的扱いとなります。白色申告の場合は事業専従者控除として概念的に最高86万円控除できるだけ、となります。

青色事業専従者給与の要件の概要

・所得税の青色申告承認申請書及び青色事業専従者給与に関する届出書を提出期限内に提出していること
・所得税の青色申告承認申請書は下記となります。
〇1/1-1/15に開業した個人事業主は3/15が提出期限
〇1/16以後に開業した個人事業主は開業日から2か月以内
・青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限
〇青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日
〇その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内

青色申告者の所得を容易に分散させないようにするという国の狙いをまず理解するほうが暗記しやすいと解されます

青色専従者給与は家族への給与支払いを例外的に認める制度であることは上記で記述しました。そもそもそれはなぜなのかという理由は下記です。

・所得税は累進課税であり所得が高くなるほど税率が高くなる、反対に所得を分散させれば税率を下げることができるのでそれを防ぐための制度である。

となります。これを踏まえて下記を記述します。

青色事業専従者給与として認められる要件

・青色申告者と生計を一にする配偶者、その他の親族であること。
・その年の年末時点で、その家族が15歳以上であること。
・その年を通じて6カ月を超える期間、その青色申告者の事業に専ら従事していること。
・青色事業専従者給与に関する届出書に記載された方法で支払われかつ、届出者の金額の範囲内であること。
労務の対価として相当であると認められる金額であること。

下記で下線部の文言について記述します。

生計を一(せいけいをいつ)とは必ずしも同居とは限らないが同居していて生計別を証明するほうが難しい

下記の場合は生計を一となります。

・同居している家族
・父親が県外の大学へ下宿している息子を扶養している場合(つまり別居)

つまり別居していても生計を一は存在します。

事業に専ら従事していることについて

所得税法施行令 第165条 親族が事業に専ら従事するかどうかの判定、という規定を要約します。

・12か月稼働した事業であれば7か月以上従事していること
・昼間稼働している事業であれば夜間部学生であれば認められるが昼間の学生は認められない
・夜間稼働している事業であれば昼間の学生であれば認められるが夜間部学生は認められない
・他で働いている者は基本的には専従者にはなれない

届出者の金額の範囲内であることかつ労働の対価として相当であることについて

まとめると下記となります。

・金額範囲を超えて支給することはできないため多めに記述しておけば、増額したいときに毎度提出しなくて済むためよいと解されます。
・しかしあまりに高額の場合は否認されます

例えば、医師の妻が受付をしているだけで青色専従者給与が2,000万円というのは認められないでしょう。

生計別の家族は他人へ支給する給与と同じ

なお、生計を一にしていない家族従業員がいて給与を支払った場合、そもそも青色専従者ではないので、支払った給与の額の全額を経費にすることができます。

例えば、父親が開業税理士をしており息子が給料を受け取る場合、息子が独身で父親と同居している場合は専従者給与、息子が結婚して別世帯で父親と別居している場合は、税法上は他人へ支払う給与と全く同じになります。

まとめ

青色専従者給与を支払いたい場合は届出を失念しないように気を付けましょう。

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