(2018年4月5日作成)(2024年9月5日再編集)

結論

・青色申告55万円控除以上の要件である、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること、とは要するに「損益計算書PLと貸借対照表BSと総勘定元帳における数字がすべて連動して合致していること」を指すと解され、当該条件は会計ソフトを利用しなければ非現実的と解されます。
・青色申告65万円控除は会計ソフトによる複式簿記で貸借対照表を完成させて電子申告送信すれば達成すると理解してください。
・青色申告55万円控除は会計ソフトによる複式簿記で貸借対照表を完成させて紙で提出すれば達成すると理解してください。
・青色申告10万円控除は手書きによる紙提出でも達成すると理解してください。
・損益計算書PL=青色決算書しか作成していないのに青色申告55万円控除と記入するなんちゃって青色申告控除55万円控除はおやめください。
・税務署や確定申告書会場では青色決算書=損益計算書PLを電子送信できないため最高でも55万円控除であり、多くの場合は10万円控除でしょう

下記で詳細を記述します。

青色申告55万円控除以上の要件である正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳の意味が実はよくわからない

正規の簿記の原則、とネット検索してみてください。恐らくですが、結局よくわからないことになると解されます。弊所の目線で、端的にお伝えすると下記となります。

正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳とは、損益計算書PLと貸借対照表BSと総勘定元帳における数字がすべて連動して合致していることでありこれは会計ソフトを利用しなければ非現実的である

上記を手書きで達成しようとした場合の手順は下記となります。

仕訳を切る、総勘定元帳へ転記する、転記した金額を合計する、合計額を損益計算書PL及び貸借対照表BSへ転記する、誤りがないかチェックする、誤りがあった場合はすべてをやり直す

となります。いかがでしょうか、雲をつかむような話、日が暮れてしまいそうな話、に聞こえないでしょうか。誤りが発生した場合にその都度修正し、その都度損益計算書PLと貸借対照表BSと総勘定元帳における数字がすべて連動して合致している、ということはもはや神業(かみわざ)となります。

会計ソフトを利用している場合の正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳は下記となります。

仕訳を入力する、チェックする、誤りがあれば仕訳を訂正入力する、その他は会計ソフトが自動計算する

となります。現実的であると解されます。

言い換えると手書きはかろうじで損益計算書PL=青色決算書は作成できるが貸借対照表BS及び総勘定元帳の作成かつすべての数字を合致させることが不可能に近い、となります。

青色申告65万円控除は会計ソフトによる複式簿記で貸借対照表を完成させて電子申告送信すれば達成する

2020年分令和2年分所得税申告から65万円控除の要件が厳しくなりました。

・複式簿記で記帳すること
・期限内に電子申告送信すること

を満たさなければいけなくなりました。電子申告送信することについては下記ページをご参考ください。

 

青色申告55万円控除は会計ソフトによる複式簿記で貸借対照表を完成させて紙で提出すれば達成すると理解してください

青色申告55万円控除は、2020年分令和2年分所得税申告から登場しました。

・複式簿記で記帳すること
・提出は紙でもよいが期限内に提出すること

しかし、上記の通り複式簿記で記帳すること=会計ソフトで利用すること=パソコン操作は可能であること、となるはずが、わざわざ紙で提出することは非常にもったいないと解されます。電子申告送信することについては下記ページをご参考ください。

青色申告10万円控除は手書きによる紙提出でも達成すると理解してください

青色申告10万円控除は65万円控除及び55万円控除を満たさない青色申告が要件となります。言い換えると下記となります。

・貸借対照表BS及び総勘定元帳は求められない
・電子申告送信も求められない
・期限内提出も求められない

したがって手書きで損益計算書PLを作成するのみで良いため手書きによる達成は現実的と解されます。

損益計算書PL=青色決算書しか作成していないのに青色申告55万円控除と記入するなんちゃって青色申告控除55万円控除はおやめください

まず、2019年分令和元年分以前の所得税申告において下記が散見されました。

・手書きで作成された青色決算書において貸借対照表BSが空欄であるのに損益計算書PLの青色申告特別控除欄に65万円控除と手書きで堂々と記述されている確定申告書

これは要件を満たしておりません。ただ、「私はこれまでこのように記入したがお咎めは無かった」と主張されるかもしれませんが、恐れ入りますがそれは「税務署が認めたわけではなく無視できる範囲であると判断して無視しているに過ぎない」と解されます。

2020年分令和2年分においては、55万円と記入する方が存在すると解されますが、損益計算書PL=青色決算書しか作成していないのに青色申告55万円控除と記入するなんちゃって青色申告控除55万円控除はおやめください、となります。

税務署や確定申告書会場では青色決算書=損益計算書PLを電子送信できないため最高でも55万円控除であり、多くの場合は10万円控除でしょう

青色申告65万円控除の要件を改めますと下記となります。

・確定申告書及び青色決算書を電子申告すること

税務署及び確定申告書会場におけるパソコンからは青色決算書を電子申告送信できないため最高でも55万円控除となります。また税務署及び確定申告書会場に訪問するような方は手書きであると推測されることから、上記の記述よりそのような方たちの多くは10万円控除に該当すると解されます。

まとめ

2020年分令和2年分所得税以降は、「自分で自力で会計ソフトを動かしかつ電子申告送信操作」できるようにならなければ青色申告65万円控除は達成できないと解されます。

現代においてはパソコンも会計ソフトも安いから、自分で自力で確定申告したいけれどいきなりは不安、だけど税理士に依頼するのは気後れする、そんな個人事業主様向けに「3年で税理士卒業ティーチング型税務顧問」を提供している京都の税理士です。弊所卒業生限定で卒業後のスポット相談業務も対応します。税理士業界の繁忙期を避けた決算月を設定されておられる法人会社については長期的な税務顧問を提供いたします。顧問税理士の一時的な業務集中時期発生回避にご協力いただくことは、貴社にとってもメリットが大きいはずです!よろしくお願いいたします。