(2018年4月5日作成)(2024年9月8日再編集)
結論
・青色申告者は損失を3年間繰越すことができるので過去の経費支出が無駄になりません。
・純損失の繰越控除は期限内申告であることの要件は存在しません。
・純損失の繰越控除は、四表を作成しなければなりませんが、一表、二表に比べれば無名かもしれません。
・手書きの方は純損失の繰越控除について知らない又は書き方がわからないということで無視している方もいたかもしれません。
・確定申告書作成コーナーの純損失の繰越控除についての作成補助は大変優れています。
・確定申告書作成コーナーを毎年利用している方でも純損失の繰越控除について知らないということでデータを繰り越さずにいる方も存在するかもしれません。
下記で詳細を記述します。
純損失の繰越控除とは
開業年から黒字を出せる方は関係無い制度となります。しかし、中には開業当初は赤字の方がおられるかもしれません。このような場合に、赤字を翌年以降最長3年間の所得から差し引ける「純損失の繰越控除」という制度があります。
例えば、開業初年度が100万円の赤字で、2年目が250万円の黒字であった場合、250万円の黒字から前年の100万円の赤字を控除でき、250万円-100万円=150万円の所得に圧縮することができます。
またもし例えば、開業初年度が300万円の赤字、2年目が100万円の黒字、3年目が100万円の黒字、4年目が100万円の黒字だったとします。
・2年目は100万円の黒字が相殺され所得が0円となり、開業初年度の赤字が200万円繰り越される。
・3年目も100万円の黒字が相殺され所得が0円となり、開業初年度の赤字が100万円繰り越される。
・4年目も100万円の黒字が開業初年度の赤字の残り100万円と相殺され所得が0円となる。
したがってこの場合、開業初年度から4年目まで所得税を納税しなくて良いことになります。
つまり青色申告であれば、過去の赤字が決して無駄になりません。例えば雑所得は、事業所得と計算メカニズムはほとんど同じですが、赤字は単年で切り捨てられます。雑所得で1年目が100万円赤字で2年目が300万円黒字であった場合は、1年目の赤字100万円は切捨てられ、2年目の黒字300万円はそのまま課税対象所得となります。過去の赤字が無駄になっていることになります。
なお繰越せる期間については下記となります。
・個人は赤字を繰り越せるのは3年間となります。
・会社法人の青色申告も近い制度が存在し、最長10年間欠損の繰越控除ができる制度があり、個人事業主より会社法人が有利であると言われるゆえんのひとつとなっております。
純損失の繰越控除は期限内申告であることの要件は存在しません
青色申告55万円控除以上は期限内申告が要件であることは下記のページをご参考ください。
しかし純損失の繰越控除は期限内申告であることの要件は存在しません。つまり、無申告者の期限後申告であっても適用可能となります。
純損失の繰越控除は、四表を作成しなければなりませんが、一表、二表に比べれば無名かもしれません
純損失の繰越控除を適用するためには
・第四表(一)
・第四表(二)
の作成が必要となります。しかしみなさまあまりご存じないかもしれません。
手書きの方は純損失の繰越控除について知らない又は書き方がわからないということで無視している方もいたかもしれません
手書きの方で純損失の繰越控除を適切に適用しようとする場合、下記の知識が必要となります。
・青色決算書の損失を算出する、算出した事業所得の損失と損益通算させる、損益通算後もなお存在する損失を第四表(一)、第四表(二)に転記して作成する。
・次年度以降は過年度の純損失の金額を適切に繰越していく
となります。とても難易度が高く、知識が必要となります。したがってよくわからず無視している方もたくさんおられると推測されます。
確定申告書作成コーナーの純損失の繰越控除についての作成補助は大変優れています
一方、確定申告書作成コーナーの純損失の繰越控除についての作成補助は大変優れています。
青色決算書の損失を算出する、算出した事業所得の損失と損益通算させる、損益通算後もなお存在する損失を第四表(一)、第四表(二)に転記して作成する、はすべて自動計算となります。
ぜひ確定申告書作成コーナーを利用しましょう。
確定申告書作成コーナーを毎年利用している方でも純損失の繰越控除について知らないということでデータを繰り越さずにいる方も存在するかもしれません
ただ、確定申告書作成コーナーを利用して自動計算させる場合の注意点は下記となります。
過年度のデータを利用して作成する、を選択しないと過年度の純損失の繰越金額が適切に反映されない
となります。自分で自力で確定申告書作成コーナーを利用している方で下記が散見されます。
・作成したデータを保存していない
・保存していたとしても次年度の作成時に過年度のデータを利用するを選択していない
これらの点についてはご注意ください。
まとめ
青色申告の純損失の繰越については、確定申告書作成コーナーを適切に利用して適切に適用しましょう。
現代においてはパソコンも会計ソフトも安いから、自分で自力で確定申告したいけれどいきなりは不安、だけど税理士に依頼するのは気後れする、そんな個人事業主様向けに「3年で税理士卒業ティーチング型税務顧問」を提供している京都の税理士です。弊所卒業生限定で卒業後のスポット相談業務も対応します。税理士業界の繁忙期を避けた決算月を設定されておられる法人会社については長期的な税務顧問を提供いたします。顧問税理士の一時的な業務集中時期発生回避にご協力いただくことは、貴社にとってもメリットが大きいはずです!よろしくお願いいたします。